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海外・アジアで働く人々の就職体験談!連載企画『アジアで働く』

上海で働く:今宮 徳洋さん(総経理)

海外就職体験談 2019-06-26



人を楽しませることが自分の使命。
日本では考えられないチャンスがある上海で、
夢を実現したい。

今宮 徳洋さん 42歳



【プロフィール】1977年生まれ。同志社大学卒。イベント企画学生ベンチャーや人材紹介会社の立ち上げを経て、2009年に上海ラクトコンサルティングを創設。レストラン無料予約代行サービス『楽っと予約』、デリバリー代行サービス『楽っとデリバリー』、体験型スポーツイベント『楽SPO』『楽SPOフェスタ』、企業イベント企画運営等、在上海企業や日本人向けのサービスを複数展開。


「日本を出て、海外で働く人ってどんな人だろう?」
筆者の私は結婚がきっかけで、上海で生活することになりました。このコーナーでは、そんな海外生活初心者の私が、自分の意思で海外でのキャリアを創る方に、海外で働くきっかけ、またその魅力をお伺いします。



   飲食店予約サービスやスポーツイベントで、在上海の日本人にはおなじみの「上海楽連商務諮詢有限公司(上海ラクトコンサルティング)」さん。設立10周年という節目の今年は、過去最大の企業対抗スポーツの祭典「楽SPOフェスタ」を開催されるそうです。このイベントを上海で開催する理由、そして上海で起業して10年を迎える心境など、総経理である今宮さんにお話を聞かせていただきました。


***


社員や家族と一緒に、非日常の体験を。
   会社と家族をつなげる場をつくりたかった。



(写真)昨年の楽SPOフェスタにて、上海ラクト社員と(今宮さんは上段の中央)

   今年11月に、第4回インターナショナル楽SPOフェスタと称し、上海にある現地企業・日系企業、そして日本人を対象とした過去最大規模のスポーツイベントを企画しています。私たちがこれまで実施してきた2大イベント、フットサルやテニス等の単独種目の日本人向けイベント「楽SPO」と、在上海の企業対抗スポーツイベント「楽SPOフェスタ」を、今回はラクトの10周年感謝祭も併せて同時開催します。楽SPOフェスタの過去3回は、企業とそのご家族が主な参加者でしたが、今回は楽っと予約、楽っとデリバリーの日本人1万人の会員にも開放し、全参加者数7,000名を見込んでいます。また、競技の数をこれまでの16種類から23種目に増やします。社員だけでなく家族も参加できるので、参加される社員の方には、非日常の体験を楽しみながら企業と家族をつなげる場にしてもらいたいですね。

中国人は家族をすごく大切にする方が多いので、家族と一緒に参加できるという点にはこだわっています。例えば、私たちは企業の社内活性のためのイベント設計などを手がけているのですが、とある企業様から「会社の社員旅行の参加者が半分もいない、何とかしたい」という依頼がありました。参加しない社員の多くは、業務の日以外は家族と過ごしたいという理由が多数でした。そこで私たちは、ファミリーデーを企画したところ、参加率95%を超え、社員の家族も含めほとんどが参加してくれたのです。社員にとっては、「会社が家族のことまで考えてくれている」と感じられ、会社へのロイヤリティ向上にもつながります。中国の場合、家族を巻き込むとそのような効果があります。

また、日本には四季折々のお花見や花火大会などの家族と一緒に参加するようなイベントがありますが、中国にはありません。そこでこのフェスタを1年に1回、そのような位置づけのイベントにしたいという思いがありました。



会社設立時から楽SPOフェスタは一番やりたかった事業。
   赤字スタートから、お客さんと一緒に創りあげてきた。

   ラクトは10年前に、「体験を通して世界に楽しみ、笑顔、感動をプロデュースする」というミッションを掲げ、上海で設立しました。(※2019年3月に10周年の節目として「心に残る体験を世界に」に変わっています)その当時から、スポーツ体験を通して日中友好につながることをやってみたいと思っていました。まずは楽SPOという日本人向けのスポーツイベントから始めて、中国人向けイベントの企画運営などを手がけ、経験と実績を積んできました。その後ようやく中国人と日本人がスポーツで交流できる場としての楽SPOフェスタを4年前に初めて実施しました。楽SPOフェスタはラクトの柱となる事業であり、もっともミッションを体現しているものと言えます。

   最初からトントン拍子で事業が成長していったわけではありません。第1回のソフトボール大会をはじめとした楽SPOはすべて赤字でしたね。最初はどれくらいの人が集まるかもわからず、ノウハウも何もない中、手探りでやってきました。お客さんと一緒にこれまでイベントを創ってきたように思います。ドライブがかかってきたのが第3回目くらいで、回を重ねる毎に参加チーム数が増えてきたのですが、それまでは苦労しました。しかし、第1回、2回が非常に重要だと思っていたので、収益は度外視でやりました。リピーターの方が増えていったのは、全力で私たちが取り組んだからだと思います。正直、スポーツイベントは手間もかかるし、そこまで大きな収益が出るわけではないんです。でも大の大人が夢中で楽しんでい姿をみると嬉しくて。やってきてよかったなといつも思います。



人に楽しんでもらって、自分も楽しめること。
   それをビジネスにできたら最高だと思った。


   「誰かを楽しませたいという思い」は、会社を創業した時から変わっておらず、会社名「上海楽連商務諮詢」にもその想いを反映しています。人を楽しませることが自分にとって得意とすること、そして好きなことだと思っているからです。

   私はラクトを立ち上げる前に、人材系の仕事をしていました。やりがいはありましたが、一生続けるイメージがわきませんでした。当時私は20代後半で、これからの人生をどう生きていくべきかを模索し続けていました。その時に自分にとって何が大事なのだろうと、これまでの人生を振り返ってみたのです。私は学生の時にベンチャーを立ち上げ、関西の学生を集めてフットサル大会などのイベントを企画したことがありました。イベント当日も楽しいのですが、企画しているときが一番楽しんでいた感覚があり、これが最も自分で生き生きしている状況だと気づきました。さらに参加者から楽しかったよと言ってもらえることもとても嬉しく、これをビジネスにできたら最高だなと思いました。

   仕事に関しては、自分で楽しんでやれるものであることを大事にしていますね。お金も必要ですが、それは結果です。人様に楽しんでもらって、喜んでもらった結果お金に変わってくると思っています。これをやれば儲かるという考えでビジネスをやったことはありません。



「人に影響を与える人物」にならなければいけない、
   インドで人の生死を見せつけられ、自分の宿命に気づく。

   昔から母に、「大人になったら世の中にいい影響を与える人になりなさい」と言われていました。当時は聞き流していましたが、心のどこかにその言葉がずっと残っていたのかもしれません。その自分の宿命のようなものをはっきりと感じたのが大学生のときです。自分探しの旅として、インドに1か月ほど行きました。将来の目標もなく、どういう人生にしたいかもわからず、見つかるきっかけになればと軽い気持ちで行きました。


(写真)インドの子供たちと。物乞いの子達の目がイキイキして綺麗だったことが印象的です。

   インドには火葬されて灰をガンジス河に流せば輪廻転生できるというヒンズー教の教えがあります。河沿いには、インド中から死を待つ人が集い、道端にいる多くの寝ている人の中には死んでいる人もいます。その近くの火葬場で、目の前で人が焼かれている光景を目の当たりにしました。衝撃的でしたね。でも、インド人は死ぬことを恐れていないように見えました。死んでも輪廻転生ができるから、それを素直に受け入れているというか。
私はその光景を見て、「人の死は儚くて、大それたことじゃないんだ。だったら自分ができることや、やりたいことで素直に生きていこう」と強く感じたのです。そして、勉強、スポーツ、音楽…とあらゆる自分の可能性を考えました。その中で、自分の人生では、生徒会長だったり野球部のキャプテンだったり、組織のトップの立場になることが多いことに気づき、これが自分のやるべきことだと感じました。僕は人に影響を与える人物にならないといけないと、そう思いました。


(写真)大学時代の野球部サークルにて。いつも組織の中では中心的存在であることが多かったです。

   世の中にいい影響を与える人物になろう、その中でも自分が好きなことをやろうと決心し、インドから帰ってきてまもなく、自分の会社を創りました。学生に向けて、「これからの人生のベクトルを決めるきっかけになるような機会の提供」をしたいと思ったことが始まりで、大学の休講情報配信サービスをつくって学生1万人のデータベースを集め、フリーペーパー制作、イベント企画などを手がけ、事業を大きくしていきました。

   また、大学時代にはインドだけでなく、様々なアジアの国をバックパッカーで周りました。中国に初めて訪れたのもその時で、建設中の高層ビルが並ぶ、上海という街が持っているエネルギーに圧倒されました。一方で、雲南省の田舎では中国人に本当によくしてもらい、そんな物質的な側面と精神的な側面の両面に触れたことで、中国という国に大きな興味を持ちました。そして、その旅の1年後に大学を1年間休学し北京で留学をしたことをきっかけに、今上海で働いている自分がいます。


(写真)中国・雲南省でお世話になった中国人と。


(写真)北京に留学時の一枚。エネルギーが国中に漲っていました。



上海でビジネスを興すおもしろさは
   日本では太刀打ちできない相手と同じ土俵に上がれること。

   上海で仕事をする面白さで言うと、ビジネスチャンスが多いことですね。日本でイベント会社を立ち上げたとしたら、ピラミット状に大手広告代理店とその下に多くの会社があって、三次受けのようなことから始めないといけません。ただ上海の場合だと、会社の大きさやネームバリューはそこまで関係なく勝負できます。ラクトは10年前に一人で立ち上げて、半年後に一人増えて、という小さな組織でスタートしています。今、上海の日系企業のイベント企画などをやらせてもらっていますが、大手広告代理店とラクトで相見積もりを取られることも多々あります。その土俵にあがれるのです。創業間もない会社や規模が大きくない会社でも、企画力、アイディアがあれば勝てることもあります。日本では考えられないことですよね。
逆に苦戦したことは、日本人駐在員向けにレストラン代行予約サービスやデリバリーサービス事業をやっているのですが、やっぱり駐在員なので3~5年ごとに入れ替わってしまうことです。せっかく会員になってもらっても多くの方は数年スパンで帰国してしまうので、常に新しい会員を呼び込まないといけなくて、事業の積み上げが難しいですね。


日中にとどまらず、アジアを巻き込むイベントを創りたい。
   「企業船団の船長」としてあと10年、夢を追い続けたい。

   楽スポの名前は去年から「インターナショナル楽SPOフェスタ」としました。日中の友好の場にとどまらず、欧米企業や東南アジア系の企業、様々な国籍の方々にも参加してもらいたいとの思いが込められています。企業対抗の、アマチュアのオリンピックのような大会を目指します。今は上海で実施していますが、北京や広州でも開催をして、各地区の優勝チームが競って中国No1を決めるようなことができればと計画しています。さらに言うと、国をまたいでアジアの国々で実施できたらすごく面白いと思います。中国国内には、チームビルディング系の会社はありますが、うちみたいにスポーツイベントなどをやっている日系企業はありませんので、私たちだからできることをこれからもたくさん企画していきます。

   会社としては、「おもろいやつとおもろいことをやり続けて、世界に楽を生み出す企業船団となる」というビジョンの実現ですね。今までうちに来てくれた社員は、退職後に自分でビジネスを始めたりと、もともとビジネスに対してモチベーションが高い人が多いのですが、僕が望む会社のあり方は、自分で何かをやりたい人が集まってくる場所であること。やりたいことが見つかれば、自分で船を出して起業してもいい。独立してやるのではなく、ラクトのグループとしてお互いに助け合いながら「ラクト船団」というものつくっていきたいです。何をやるかだけではなく、誰とやるかをこれからも大事にしたいなと思っています。

   最後に、個人的な展望としては、僕は10年後にビジネスの第一線から退いて、大好きな沖縄を生活拠点にしたいと思っています。その頃にはアジアのいくつかに自分のビジネス拠点があって、好きな時に好きな人とその拠点を訪れて、現地の人とお酒を飲むという人生にしたいです。そのための残りあと10年も、たくさんの人に笑顔になってもらえるように走り続けますよ。


▼第4回インターナショナル楽SPOフェスタに参加希望の方はこちらから▼
http://www.rakuto.com.cn/festa



***

私は昨年、運営のお手伝いスタッフとして参加させてもらったのですが、日本人も中国人も関係なく、大の大人がこんなに無邪気に楽しめるものなんだ、と驚いた記憶があります。イベント企画を経験したことがある方はわかると思いますが、「みんなが本気で楽しめる空気」というのはなかなか生まれにくいものです。その裏には、今宮さんをはじめ、上海ラクトの皆さんが一生懸命参加者のことを思って考え抜かれた仕掛けと準備があったのだなと感じました。社員の皆さんやその家族のみなさんが楽しんで笑顔になってもらえるような大会にしたい、とおっしゃっていた今宮さん。ぜひ同僚の方やご家族を誘って、参加してみてはいかがでしょうか。





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