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海外・アジアで働く人々の就職体験談!連載企画『アジアで働く』

上海で働く 辻岡義昌さん (Web広告会社・営業)

海外就職体験談 2024-08-19



中国web広告の世界へ
日中相互の魅力を伝えていきたい



辻岡 義昌(つじおか よしまさ)さん【Web広告会社・営業】
福井県生まれ。中国・上海市在住。2013年に中国・厦門(アモイ)へ半年間留学。大学卒業後は地元、福井県の広告代理店に入社し、営業として約7年半働いた。上海のベンチャー企業に転職し、現在はweb広告の営業として働いている。


半年間のアモイ留学。中国の文化や歴史、食に惹かれた

海外に興味を持ったのは、高校の地理の授業がきっかけです。《文化や産業は、その土地の気候や土壌とも密接に関連して成立している》――そう教わったことが印象的で、自分の目で日本以外の場所を見てみたいと思いました。

それで、大学は国際文化を学べる場所を選択したんです。とはいえ、最初から中華圏に興味があったわけではなく、当時はいろんな国の文化や言語を学んでみたいと思っていました。なんとなくヨーロッパあたり――例えば、フランスとかかっこいいなって(笑)。

中華圏に目を向けるようになったのは、初めての海外旅行がきっかけです。大学生になりパスポートを取得して、最初に向かったのが台湾。日本と同じアジア圏だからこそ、日本と文化的に近い部分、異なる部分に興味を持ちました。また、何よりも美味しい食べ物に惹かれましたね。その時に中華圏って面白いなって思ったんです。

大学3年生の時には1年間休学して、半年間は中国、半年間はカナダと、2か国へ留学しました。中国での留学先は、南沿岸部の福建省にある厦門(アモイ)という都市です。温暖なリゾート地でありながら、歴史的な建築が多く残る場所としても知られています。

僕が留学に行った2013年頃は日中関係が悪化していた時期だったんですが、当時は中国関連のニュースが日本でもたくさん報道されていました。留学前には親族から心配されましたし、自分自身も不安に思いながら中国へ向かったのを覚えています。でも、いざ厦門に来てみると、実際の中国からは想像とはまるで違う印象を受けました。現地の方は日本人に対しても親切に接してくれましたし、僕が留学生だと気づいたお茶屋さんの店主が中国茶を振舞ってくれたこともありました。

現地の方の温かな人柄や、美味しい食べ物、独自の文化や歴史に強烈に惹かれましたね。半年間の留学を終えるころには、将来は中国に関わる仕事がしたいと思うようになっていました。中国には大きな魅力があるのに、日本ではまだそれが知られていないと感じ、中国の魅力を日本に伝えるような仕事ができたら面白いだろうって考えるようになっていたんです。

上海就職

四川北路の古い街並みを再現した場所にて



就職先は地元福井の広告代理店。抱き続けた中国へのあこがれ

中国に興味は持ちながらも、卒業後に最初に勤めたのは地元、福井県の広告代理店でした。福井県で親しまれているローカル誌を作る版元で、僕の仕事はその雑誌の広告営業です。地元の企業から広告を取ってくるのは簡単ではありませんでしたが、地域に根ざして仕事をするのは楽しかったですし、仕事を通して福井県の魅力をより知ることができたと思います。

その仕事を5年ほど続けたころに、転職を意識するようになりました。できることが増えて自信がついたこともあり、やっぱり中国に関わる仕事をしようと考えたんですよね。 実際に直属の上司へ「中国に関わる仕事がしたいんです」と退職する意思を伝えると、その話を聞いた別の上司から「中国に行く前に東京支社で働いてみたら?」と勧められました。当時はコロナ禍。渡航に制限がかかっていた時期でもあるので、悩みつつもその勧めに従って東京支社である制作会社へ移動することにしたんです。

実際に東京で働いてみると、大企業とのやりとりも増えて、新しく学ぶことは多かったです。前職の社長や幹部の方はかつて中国で働いた経験があったんですが、彼らの勧めで東京都にある「日中友好協会」にも入会し、そこで同じ志を持った同世代とも繋がることができました。流ちょうに中国語を話し、中国に関わる仕事をする彼らからは多くの刺激をもらいましたね。自分自身もプライベートで中国茶のイベントを企画するなど、中国へのあこがれが尽きることはなかったです。

上海就職

日本では、友人の生花店にて中国茶のイベントを開催しました



コロナ禍を過ぎて再挑戦した中国転職。希望した中国web広告の世界へ

東京で働いて2年半。仕事で成果も出せるようになり、コロナ禍も落ち着いたことで、改めて中国転職に挑戦することにしました。広告業界を第一希望に複数の求人に応募したんですが、すぐには上手くいかなかったですね。書類選考を通過できなかったり、面接で緊張して上手くいかなかったり……。選考に落ちるたび、ガクッと落ち込んでいました。

それでも諦めずに3か月ほど転職活動をつづけた結果、最終的には複数の会社から内定をいただき、現在は第一希望にしていたweb広告業界で働いています。中国系のベンチャー企業で、社員約40名のうち日本人は僕ひとり。僕は日系企業をクライアントにSNSマーケティングの営業を行っています。小红书(RED)や抖音(TikTok)、微博(ウェイボー)、哔哩哔哩(ビリビリ)など、中国のSNSは勢いがあり日々進化しています。その第一線に関われるのは、とても面白いですし刺激的です。

同時に、まだまだ覚えるべきことも多く、語学や新しいツールに慣れるのに苦戦中です。外国語で働くのは想像以上に大変ですね。日本語だったら一瞬で理解できることも、中国語だと理解するのに倍以上の時間がかかります。細かいニュアンスを伝えることも簡単ではありません。とにかく今は中国語のレベルを上げて、さらには仕事の知識を増やしていきたいです。

上海移住

友人と潮仙料理を食べにいきました



自由かつ責任ある働き方。毎日が学びの連続

現在勤めているweb広告会社は、創業メンバーが日系企業出身です。そのため、これまでにも多くの日系企業とお取引していて、今後さらに日系企業へのアプローチを増やしていくために僕を採用していただきました。日本人というだけで日系企業からお仕事がもらえる――なんてことはありませんが、日本と中国では仕事の進め方や交渉の仕方で異なる部分も多いので、日本人だからこそ両国のいい部分を吸収し、橋渡し役ができるかと思います。

上海での仕事は、日本にいたときよりも自主性が求められていると感じます。また、仕事は人から割り振られるものではなく、自ら作っていくもの――という感じもします。ポジティブに考えれば裁量権がありますし、自ら考えて動きたい人にとってはピッタリですよね。
個々人の能力に基づいた売上目標は提示されますが、あとは仕事のやり方に関してあれこれ口出しされることはありません。そのぶん、成果に対しての責任は大きいですね。どのような方法で、どれだけ時間配分をするかについては自ら考える必要があるので、KPIは上司と相談しつつも自分自身で設定していますよ。

とはいっても、ざっくりとした業務の進め方は日本と変わりません。自主性は重んじられていますが、チーム全体で一丸となって案件を取ろうという雰囲気はありますし、上司たちからもよくアドバイスをいただいています。定例のMTGなどは日本と比較して少ないので、だからこそ同僚や上司と積極的にコミュニケーションを取るよう心がけていますね。

同僚や上司は責任感が強く、クライアントの要望に答えるため、遅くまで働いている社員は少なくありません。僕自身も日系企業に勤める方へ積極的にコンタクトを取ったりして、まずは上海の日系企業やそれを取り巻く状況について理解を深めつつ、企業の求めるニーズに答えられるような方法を日々学んでいるところです。

上海では多くの日本の製品が親しまれています。日系メーカーの食品だったり、化粧品、衣料品など。とはいえ、中国の消費者の趣向も徐々に変わっていてきているので、僕ら中国のweb広告企業が日系メーカーに対してできることはきっと多いはず。僕もしっかりと専門知識を増やして、日本の良いものをアピールするサポートをしていきたいです。

上海就職

会社は若い人が多くアットホームな雰囲気。誕生日会やクリスマス会なども頻繁に開催されます



上海でも始めた音楽ライブ。新しい場所での活動を楽しみたい

仕事以外でも、もちろん上海生活は思いっきり楽しんでいますよ。人との繋がりは大切にしたいですし、フットワークはとても軽いので誘っていただければ割とどこにでも顔をだしています。むしろ最近では、ちょっと出歩くのも控えないとなって思っているくらいです(笑)。 2か月ほど前からは、ライフワークにしている音楽活動も再開させました。もともとヒップホップが好きで日本ではラッパーとして活動していました。上海でもそういう機会をずっと探っていて、初対面の方にも「ラッパーです」と自己紹介していたんです。「ライブができる機会ないですかね…?」って感じで。

そしたら、イベント企画をしている日本人の方が声をかけてくれて、とあるイベントでライブができることになりました。日中のクリエーターや企業が集まるマーケットイベントで、僕は日本語ラップで2ステージ。きっと言葉がわからない方も多かったと思いますが、たくさんの人が盛り上がってくれて、うれしかったですね。それ以来、ライブの機会が少しずつ増えてきています。

中国は成都などはラップのカルチャーシーンが豊かだと言われていますが、上海はラップミュージシャンはあまり多くはないようです。でも、だからこそ、そうした場所で音楽活動ができるのは面白いと感じています。


上海移住

最近はラップの活動も増えてきました



福井、東京、中国―― 。3拠点の魅力を相互に伝えるのが目標

上海での仕事ではまだまだ勉強中で、語学も仕事も覚えることが多いですが、この期間にどんどん吸収して、成長していきたいです。将来的には福井、東京、中国を行き来しながら日中両国の魅力を相互に伝えるような仕事ができるようになるのが僕の目標です。

上海に来てから、中国の魅力をたくさん見つけました。逆に、日本の優れている点も気が付くことができた。その場にいるからこそ見つかる魅力はありますし、逆に外から見ることで初めて気がつく魅力もあります。
中国茶や雲南珈琲、白酒……中国にある豊かな文化は日本では知らない人も多い。だからこそ僕がやる価値はあるのかなって。僕自身、今からこの国でどんな魅力を見つけられるだろうって、とてもワクワクしています!



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