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海外・アジアで働く人々の就職体験談!連載企画『アジアで働く』

ベトナムで働く:入村 洋明さん(飲食)

海外就職体験談 2019-05-14




日本にいた頃よりも、多忙な毎日。
それでも私がベトナムで働き続けたいと思う理由。

入村 洋明さん 46歳



【プロフィール】飲食業界に34年。日本で飲食事業部長として、多数の飲食店舗の立ち上げや運営管理を経験後、2018年にSAKURA Co.,Ltdに入社。ベトナムハノイの『SAKURA GROUP』にてゼネラルマネージャーとして活躍中。


「日本を出て、海外で働く人ってどんな人だろう?」
筆者の私は結婚がきっかけで、上海で生活することになりました。このコーナーでは、そんな海外生活初心者の私が、自分の意思で海外でのキャリアを創る方に、海外で働くきっかけ、またその魅力をお伺いします。



   ベトナムにいる日本人なら誰でも知っているという、日系焼肉専門店『焼肉櫻』を含めたグループ全店舗を統括する入村さん。人気店のため日々お忙しく、取材もお店の限られた休憩時間の中で、半ば強行実施させていただきました。しかし、もともと入村さんが海外に出られた理由は「セミリタイアしてのんびり暮らすこと」だったと言います。どのような経緯で、そしてどのような思いで今に至ったのか、お話聞かせていただきました。


***


45歳で日本の企業をセミリタイアし、
    家族とのんびりとした生活を求めてベトナムへ。


   私は昔から「55歳で仕事を辞める」と決めていました。定年よりも少し前にリタイアし、そのあとは家族と旅行に行ったり、仕事以外の時間を大切にして、のんびり暮らしたいと思っていました。しかし妻が退職することになり、当時45歳だった私は計画より少し早く、妻に合わせてセミリタイアを考え始めたのです。

   これまでは日本で長年、飲食業の管理職として店舗の立ち上げや運営に携わり、ハードな毎日を過ごしてきました。社会人をスタートしてから今まで仕事一筋で働いてきたので、今後は環境を変えて、仕事のペースを落とそうと決めました。そこで妻と話し合い、様々な選択肢の内の一つとして、「ベトナムで生活したいね」という話になったのです。
もともと海外旅行が好きで、毎年家族で年に数回は行っていました。欧米やアジアなどたくさんの国を周りましたが、その中でもベトナムの印象が良かったのです。一番の理由は、人が優しいことです。レストランでちょっとしたサービスをしてくれたり、話しかければフレンドリーに接してくれたり、異国から来た私たちを純粋に歓迎してくれていると感じられる国でした。また、料理がおいしくて、飽きが来ないことも気に入った点でした。どの国の料理もおいしいとは思うのですが、ずっと食べ続けるとなると話が変わってくるじゃないですか。ベトナム料理は、味が優しくて野菜も豊富に使っているので、食べ飽きないというのが良かったですね。


ベトナム料理店での一枚。もともと食べることは好きで、世界中のレストランを巡りました。

   ベトナムで生活することを重点に置き、そこで初めて、ベトナムでの仕事ってどんなものがあるのかな、と考え始めました。軽い気持ちでネット検索したところ、現職の情報が載っていた求人ページに辿り着きました。私は求人サイトをチェックすることも、人材会社に登録することも一切しませんでした。本当にたまたま最初に目にしたのが現職のページだったというだけですね。
「ベトナムで10年間飲食店を展開し、これから拡大していく会社」という求人情報を見て、自分の経験が活かせるだろうと思い、早速応募することに。それから間もなくスカイプ面接を受けたのですが、あまり多くを質問されることもなく、「すぐベトナムに来られますか?」とお話をいただきました。面接はスカイプでのその1回きりでした。

   迷いや不安はなかったです。結局、行って働いてみなければわからないことだと思ったからです。妻もベトナム旅行には来たことがあったので特に反対することもありませんでした。すぐ現地に来てほしいと言われていましたが、実際は前職をすぐに辞められず、半年後にベトナムに渡ることになりました。
当初、環境を変えて落ち着いて働くというのは日本国内でもよかったのです。ただ選択肢の一つとして海外就職を少し考えてみたところ、ご縁があって結果ベトナムで働くことになったという経緯ですね。



日本の方がいいなと思うこともある。
    けれどその違いこそが海外生活の醍醐味。


ベトナム料理教室に参加したときの一枚。講師のベトナム人とすぐに仲良くなりました。


   実際にベトナムのハノイに来て生活してみると、また旅行とは違った印象を受けます。そもそも旅行で訪れていたのはダナンだったので、ハノイには5年程前に一度来たきりで、右も左もわからないところから始まりました。最初は、空気が汚いこと、バイクなどの交通量が多すぎることなど、日本の方が良いなと思う部分も目につきました。しかし、日本の便利な都会とは違う、アジアらしい雰囲気を感じられるのも醍醐味だと思っていたので、数日経てばあまり気にならなくなりましたね。また、人が優しいことと食事が美味しいことには変わりなかったので、自然と現地の生活に馴染んでいきました。

   言語に関していえば、私はもともと生活に困らない程度の英語は話せました。レストランでの会話など、こちらの普段の生活で使われるのは英語なのでそこまで困ることはありませんでしたね。職場では、日系の焼肉店だけあってベトナム人は日本語を喋れるので、基本的にはコミュニケーションも日本語で完結します。ただ、ベトナム語を喋ることができれば、もっと円滑になるとは思います。そのため今、空いた時間でベトナム語勉強しているのですが、どうしても必要に迫られているわけではないのであまり上達しませんね(笑)。



前を向いて必死に働くベトナム人から
   かつての自分を思い出す。


ベトナムに住む日本人には有名な、「焼肉櫻」。若いスタッフが多く、明るい店舗です。

   私の日本での前職は忙しかったものの、土日祝は完全に休みで、きっちり9時間勤務でした。私は店舗でなく本部の事業部で勤務していましたが、店舗も含め労働環境には気を使っていて、とても良い環境だったと思います。日本の飲食店舗で働く人はその業態上、休みが少なく不定期なところもあると思いますが、それでも随分改善されつつあるのではないでしょうか。

   一方、ベトナムの現在の職場は一昔前の日本の飲食店のようだと思っています。休みも少なく、便利なツールもあまり普及しておらず、いつも人手が足りない状況です。 しかし、そんな環境でもここで働いているベトナム人はみんな文句も言わず、一生懸命働いています。昔の日本人のように、情熱をもって仕事をしています。国が成長しているので、働けば働くほど良くなっていくはずだと、希望をもって働けるのかもしれません。私が若いころ、労働環境がどうだと考えることもなく、目の前のことに必死になって取り組んでいたときのことを思い出します。毎日忙しく、体力的にも大変ですが、若いスタッフが真面目に頑張っている姿をみると、自分ももっと良くしたいと前向きな気持ちになれるのです。

   ベトナム人がここまで一生懸命働くというのは、思ってもみなかったですね。もっとゆったりとしている国民性というイメージがありましたが、「これはどうしたら上手くいくか」と自ら進んで私に尋ねてくるほど熱心です。ただ実際、人によっては真面目に働かず、短いスパンで転職を繰り返すこともあると聞きます。ですので一概には言えませんが、ベトナムは国の将来が明るいので、国民も前向きなエネルギーに満ちているのだと思います。



私がベトナムに来てからの変化は2つ。
   日本にいた頃よりもっと忙しくなったこと。
   そして、初心を思い出したこと。

   セミリタイアということでベトナムに来ましたが、妻とゆっくり過ごすどころか自分の時間すら満足に取れていません(笑)。忙しくなって、昔に戻っちゃった感じですね。昔のようにがむしゃらに働くというよりは、頭を使いながら働いているので私自身の効率は上がっていますが、それでもやるべきことに追われています。でも今、辛いとか辞めたいとかネガティブな感情は不思議とないのです。私がここでやらなければならないことは、彼らの働く環境をもっと便利にして、勤務時間を減らして休みを増やすこと。自分の働くモチベーションは、一生懸命やっている彼らに対しての、そんな使命感のようなものですね。日本ほど道具や設備がないというハード面と、仕組みが整っていないというソフト面の課題があります。働く環境は自分たちで変えていかなければいけません。自分の経験則でこうしたらもっと良くなるということはすべて伝えて、形にするところまでやるつもりです。彼らの学びたい、良くしたいという真っすぐな思いが伝わってきますし、私に初心を思い出させてくれた彼らを楽にしてあげたいという一心で今仕事に取り組んでいます。

   大変ですけど、ベトナムでの今の仕事を楽しんでいます。しかし、ずっとは続けられないと思っているので、自分のためにもできるだけ早く理想の形にしたいですね。長くても55歳を区切りにするという計画は変わっていませんから。それまで、ベトナムに居続けるのかどうかはわかりませんが、55歳までにリタイアし、それ以降も収入面も含めて自分の基盤を崩さずに生活できる状態でいられるよう、今の仕事を一生懸命やりたいと思っています。


***

目の前のことが予定通りでなくても、入村さんのように柔軟に適応し、大きな人生の計画だけはぶらさないということが、海外生活にとって非常に重要なことに思えます。予想外というのは悪いことばかりではなく、「日本にいたときよりも仕事が忙しくなった」一方、「ベトナム人が自身に影響を与えるほど勤勉だった」というようなポジティブなものもあります。そんな予想外を楽しむことが、海外生活を成功させる秘訣ではないでしょうか。





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