シンガポール就職体験談



連載企画【アジアで働く】 第1回目: シンガポールで働く!久保裕美子さん


久保裕美子さんは29歳。半年前にシンガポールで生活をスタートした。幼児期から18年に及ぶアメリカ生活で語学や文化にまったく不安はないが、アメリカへ戻らずシンガポールを選んだ。「日本でそれまでの就業経験で学んだ規律と調和を重んじる精神と、米国式の発想力が両方生かせると思ったんです。働き始めて半年たった今も、その思いは変わりません。シンガポールは英語圏でありながら、アジアの良さが最大に生きる国です」

久保 裕美子さん(ISI-Dentsu South East Asia Pte. Ltd.勤務)


“アジアの精神とアメリカの発想力、
両方活かせるのがシンガポール。
二つの文化が共存する場所で成長していきたい”



自信が持てず、平凡な人生を望んでいた若手時代に訪れた転機


 日本では、新卒で情報サービスで有名な大企業に入社。一日60社の飛び込み営業に面喰いながらも、その中で着々と自分のポジションをつくり、海外進出事業など自分の強みを生かせるビジネスに関わった。刺激的な毎日を送っていたが、当時海外進出に力を入れていたSNS企業から声がかかり転職。持前の語学力を活かし、海外の大手キャリアとの提携交渉など大きな仕事を経験した。前社とは違う若い企業ならではの自由度とスピード感を楽しんだが、もっと海外ビジネスの現場を体験したいという思いから、以前から漠然と考えていたシンガポールへ。順風満帆な20代に見えるが、就職した当時は「帰国子女という事もあり、普通にしていても思考や行動が周囲からはみ出てしまう自分に自信が持てず、とにかく溶け込んで平凡に暮らしたいと思っていた」そうだ。

「私の意識が変わったきっかけは、会社の海外展開に関わるチャンスを与えてもらったことです。取締役の下でマネージメントのイロハを学び、たくさんの経営のプロに出会い、日本とアメリカの知識がぶつかり合うことで生まれる新しいアイデアに感動して、すっかり海外展開と経営という仕事に魅せられました。そして、日本社会に溶け込む事よりも、世界で戦うために、どう思考・行動・そしてスキルを尖らせていくかに夢中になりました。」

 その経験もあり、同じような仕事を実現できると思えたのが多民族国家のシンガポール。業種にはこだわっていなかったが、それまでの経験をふまえて「メディア」「日系企業の海外展開」に加えて、30歳前に3つ目の軸をキャリアに加えたかったことと、将来性を考えて「IT」の現職を選んだという。現職ではデジタルマーケティングのコンサルタントとして、Social Listening & Engagement(インターネット上の消費者の声をマーケティングに活かすこと)」を効果的に行うためのITシステムと業務フローをお客様と一緒に設計しているそうだ。


家族で多様な価値観を楽しみ、選択の幅が広い人生を歩む


 このタイミングで海外での転職を考えたのには、もうひとつ大きな理由がある。既婚者の久保さんは、将来的に子どもができたら英語教育はもちろんのこと、多様なカルチャーを体験し、選択の幅が広い人生を歩んで欲しいと考えているために、動けるうちに動いておきたかったのだ。シンガポールは日本と同じ水準の生活をしようと思えばお金がかかるが、仕事もプライベートもフルに楽しめる余裕があって、細かいことでは右往左往せず、すぐ納得できる回答が得られるところも性に合っているという。仕事面では長い残業もなく、終業後にはご主人と合流して外食したり、ウインドーショッピングなどを楽しんでいるそうだ。

 シンガポールで働きはじめ、アメリカ生活も長い久保さんは、海外で活躍するには日本人としての強みを理解しながら、それに加えて柔軟性が大切だと言う。

「日本人は品質やサービスレベルを高める仕事についてはトップレベル。社会貢献意欲が高く、責任感も強いため細かいところまでしっかり拘り抜く。ただ、日本品質は尊敬していても、その働き方を自身のライフスタイルに取り入れたいアメリカ人やシンガポール人は極少数。日本人の強みである「拘り」に「拘り過ぎず」、如何に現地に合う働き方や品質にチューニングしていくかがポイント。シンガポール人は幼い頃から多様な文化に触れているからか、相手に合わせて品質を調整することへの違和感が少ない。私も日本人としての誇りを持ちながらも、やり方には固執せずに相手に合わせて仕事ができるようになりたい」

 亜熱帯の地に咲くハイブリッドなやまとなでしこの久保さん。10年後の夢を聞いてみたら「成長が止まらないビジネスパーソンになっていたい」と答えが返ってきた。そのころには家族も増えているかもしれないし、「世界にインパクトのある事業を経営」という夢に着手しているかもしれない。

(写真:左)同僚とそのファミリーで乾杯。 (写真:右)シンガポール建国記念日、当社会長主催のファミリーパーティにて。ベランダから花火を見ながら。







シンガポール転職の基礎知識!

シンガポール現地の最新情報について、RGF HR Agent Singaporeのコンサルタントの方にお話しをお伺いいたしました。

(1)シンガポールは一流大学出身でないと外国人は働けないのでしょうか?
就労ビザ(Employment Pass)の取得のためには大卒が必須条件となります。大卒未満の方についてはS-Passと言われる種類の就労ビザを取得する必要があり、企業ごとにシンガポール人の社員数に応じて発行できる数が限られるため、そういう意味では就労ビザの取得は厳しいと言えるでしょう。シンガポールは日本以上の学歴社会のため、同じ就労条件でも、高学歴(一流大卒・院卒)の方のほうが就労ビザの取得がしやすいなどの影響はあると思います。ただし、学歴の良し悪しだけでなく、専門性の高さも重要な要件になりますので、ご自身の専門性は何か?それをいかんなく発揮できる仕事はなんなのか?を常に考えていく必要があります。

(2)シンガポールの日本人現地採用の平均所得は?
EP(就労ビザ)の申請資格が月額S$3,000以上となっているため、最低S$3,000以上というのが一般的です。現時点では、シンガポールの給与水準は日本の給与水準の70%程度となります。感覚値としては年齢×S$100=自分の年齢で概ね妥当な月額給与となります。そこから専門性や能力などのプラス材料がどの程度あるかによって、上乗せ金額が変わるイメージです。シンガポールは欧米諸国以上に「Pay for Performance」社会なので、もちろん給与交渉も可能ですが、日本の感覚で給与を要求すると、Under Performed (Under Achieved)=入社後の解雇や給与の減額、となる確率もあがるので、給与交渉は日本以上に慎重に行いましょう。特にシンガポールを含む海外での就業経験がない方については、1年目は謙虚にスタートし、パフォーマンスを上げてから給与交渉されることをお勧めいたします。

(3)マネジメントクラスのポジションは?
基本的に日系企業ではマネージャー以上は駐在員が担っているケースが多いため、案件そのものはあまり多くありません。ただし、昨今シンガポールの駐在コストが上昇しているため、現地化の動きは活発になってきており、今後はマネジメントクラスの求人も出てくるのではと予想しています。シンガポールで一般的に言われているのは、セールスマネージャーの給与相場で月額S$4,000程度です。Senior ManagerやDirectorのタイトルになると月額S$7,000~10,000程度の給与が見込めます。

(4)税金はどのくらいですか?
収入に応じて一年分の税金をまとめて各自で申請し、支払います(日本でいう確定申告のようなシステムです)。給与天引きはされません。住民税がないのと、最大の所得税率も20%となっていることから、同じ金額でも可処分所得は日本より増えると言われています。

(5)物価が高いと聞きますが、生活費は最低どの程度かかりますか?
住居費については東京より割高な印象はぬぐえません。ワンルームマンションという概念がほとんどないため、複数のベッドルームがあるユニットをシェアしながら住むのが一般的です。ただ、住居費以外の生活コストについては、独身の方でそこまで派手な生活さえしなければ、S$1,500~2,000程度かと思います。(もちろん、嗜好品・交友関係・趣味等もろもろの諸条件によります)

(RGF HR Agent Singapore コンサルタント)



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