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第2回:コロナ禍の中国就労ビザ取得体験記(公印確認・領事認証編)

コロナ禍の中国転職画像1

2021/06/18




※この記事は2021年に作成されたものです。2023年版に加筆・修正された記事はこちらをご確認ください。


コロナ禍の海外転職

こんにちは、カモメ編集室です。
今回は「コロナ禍の中国転職。中国就労ビザの取得体験記」の後編、「公印確認・領事認証編」です。多くの方がつまずきがちな、日本外務省による「公印確認」と、中国ビザセンター(駐日中国大使館)による「領事認証」のふたつについてご紹介します。

この記事は、コロナ禍まっただ中の2021年5月に、上海へ渡航したカモメ新入社員(筆者)の実体験がもとになっています。あくまで一例であり、じっさいに手続きを行うさいには最新情報を入手するようにしてください。

まずは、外務省で公印確認を取る。私文書は別ルート

筆者が中国就労ビザ(Zビザ)申請のために準備したもののうち「卒業証明書」と「卒業証書のコピー(※1)」、「無犯罪証明書」は、日本外務省による「公印確認」と、中国ビザセンター(駐日中国大使館)による「領事認証」のふたつを得る必要がありました。

順番としては、まず書類を日本外務省に送付し「公印確認」をもらい、公印の取れた書類を中国ビザセンターに提出して「領事認証」をもらう順番です。ただし、これは公文書(※2)の場合。私文書である「卒業証書のコピー」は、別のルートになります。それでは、順追ってご説明します。

1. 日本外務省による公印をもらう
筆者が中国へ渡航した時点(2021年5月)では、日本外務省の公印確認窓口はコロナの影響により停止していました。郵送でのみ申請可能だったため、「卒業証明書」と「無犯罪証明書」、公印確認申請書、返送先を記入した返信用封筒をレターパックに入れて、外務省へ送付しました。すると、公印のついた書類が10日前後で返送されてきました(速達を利用)。手続き費用は無料でした。

参考【外務省:申請手続きガイド 3申請方法・必要書類】
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page22_000608.html#section3


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赤枠が公印です



2. 公証役場で公証人押印証明をもらう
筆者の場合、卒業証明書に学位の記載がなかったため、学位の記された「卒業証書のコピー」もビザ申請のために準備しました。「卒業証書」は公文書ですが、それをコピーしたものは私文書になります。私文書は、外務省で直接公印を得ることができません。代わりに、「公証役場」にもっていき、「公証人押印証明」というものを得る必要があります。また、それと同時に、外務省の公印も得ることができます(※3)。ただし、外務省で公印をもらえば無料なのに、公証役場の手続きには料金5000円が発生します。ちょっと損した気分になりました……。

参考【外務省:申請手続きガイド 1証明できる書類】
https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/page22_000549.html


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公証人押印証明と外務省公印が同時に取れました



3.中国ビザセンターで領事認証を得る
外務省の「公印」を得た、「卒業証明書」「卒業証書のコピー」「無犯罪証明書」の3つは、次に中国ビザセンターを直接訪問し(代理人も可)、「領事認証」を得る必要があります。コロナ禍では、認証手続きをするには、ネット予約をする必要があります。ただ、この予約枠をとるのが至難の業。筆者が申請を行った2020年冬頃は、四六時中予約に空きが出ていないかを確認し続ける必要がありました。あまりの予約の取れなさに、ウェブサイトのエラーかと思い、問い合わせを行ったほどです。やっと予約が取れたと思ったら、書類1枚分……。朝から晩まで1時間おきに予約状況をチェックし続けることで、2度の手続きに分けて、3枚の書類の認証を得ることができました。領事認証を得るのがこんなに大変だとは思ってもみませんでしたが、コロナ禍では仕方がないのかもしれません……。

参考【中国ビザセンターホームページ】
http://bio.visaforchina.org/TYO2_ZH/


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これが領事認証。書類の裏に貼り付けられます



中国ビザセンターで領事認証を得たら、前編「書類準備編」で記述した1~8の書類すべてをスキャンし、そのPDFをカモメ人事へと提出しました(2020年12月末)。通常であれば、原本を中国へ郵送する必要がありますが、コロナ禍でオンライン申請が可能となったため、郵送は不要でした。


書類送付からPU招待状の取得に約3ヶ月

人事へ書類提出後に「工作許可申請書(※4)」と「雇用契約書」が作成され、サインをしたのが1月上旬。ここから、中国側で「工作許可通知書」および「PU招待状(※5)」取得のための申請が行われたため、筆者は待機の状態になりました。そして、3ヶ月ほどたった4月上旬、やっとPU招待状を得ることができました。PU招待状を得てからのスピードはとても速く、以下のスケジュールで動いています。

中国就労ビザ(Zビザ)取得と渡航までのスケジュール
2020年11月上旬 書類集め開始
2020年12月下旬 人事へ書類提出
(公印確認&領事認証完了)
2021年2月上旬 「工作許可通知書」を受け取る
2021年4月上旬 「PU招待状」を受け取る
2021年4月19日  Zビザ申請(※6)
2021年4月26日 Zビザ受領
(代理人が受け取り、郵送してもらう)
2021年5月7日 PCR&IgM抗体検査を実施
2021年5月9日 上海へ渡航

工作許可通知書には90日の使用期限があります。2021年2月2日付で工作許可を発行された筆者は5月1日までにビザ申請をする必要がありました。万が一、使用期限を過ぎてしまうと、ビザ申請手続きをイチからはじめなければなりません。PU招待状が取得できるまでは、書類の使用期限に間に合うかと少し心配していましたが、結果的には無事に期限内に申請を行うことができました。

やはり、コロナ禍では通常と異なる申請フローがあり、審査時間がかかるようです。しかし、決してビザが取れないわけではありません。余裕を持って行動し、時短できるところは急いで行うことが大切だということがわかりました。

最後に、ビザ手続きにかかった費用です。
ビザ手続きにかかった費用
公証人押印証明 5,000円(1通)
領事認証 26,550円(3通)
証明写真 6,710円(12枚)
合計 38,260円

※上記のほか、書類送付のための送料や中国ビザセンター等までの交通費等がかかってきます。また、健康診断費用については、会社から直接支払われていました。



<注釈>
※1 原則として、「最高学位証明書」には、学位記載が必須です。しかし、実際には、学位記載のない卒業証明書であっても「最高学位証明書」として使用することができるケースも多いようです。会社やビザ申請代理店に確認するようにしてください。

※2 公文書とは、公務所(役所)または公務員がその職務権限に基づき作成する文書のことです。それ以外のことを私文書と言います。

※3 東京都、神奈川県、静岡県、愛知県および大阪府の公証役場では、公証人の認証、法務局の公証人押印証明および、外務省の公印確認が得られます。このサービスを利用すれば、法務局や外務省に出向く必要はありません。

※4 工作許可とは中国政府による労働許可のこと。

※5 就労ビザ(Zビザ)申請のために必要な渡航先の省人民政府外事弁公室や商務庁等により発行された招待状のこと。

※6 ビザ申請代理店のサポートがあったため、筆者の準備は不要でした。パスポートと証明写真を持参し、指紋採取のために中国ビザセンターを訪問しました。


2021/06/18



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